不動産の家族信託|具体的な仕組みや注意点など
不動産の家族信託とは、不動産の所有者が自分の将来(認知症の発症など)に備えて、家族に管理・処分を託す契約のことです。
本稿では、不動産の家族信託の具体的な仕組みや注意点などを解説します。
不動産の家族信託とは土地や建物の管理・処分を家族に託すこと
不動産の家族信託とは、不動産(土地や建物)の所有者が元気なうちに、将来の管理・処分を家族に託すことです。
不動産などの資産は、所有者が認知症などを発症し意思能力が低くなると、自分では管理や処分ができなくなってしまいます。
しかし、家族であっても、所有者名義の不動産の管理・処分をするのは法的に難しいのが現実です。
家族信託を利用すると、不動産の名義を家族(家族信託の受託者)に変更でき、所有者に何かあったときに家族が管理・処分できるようになります。
不動産の家族信託の具体的な仕組み
不動産の家族信託の具体的な仕組みとして、不動産の所有権を「財産権」と「名義」に分けることがあります。
「財産権」は所有者そのままに、「名義」のみを家族に変更すると、不動産の管理・処分などの権限だけを先に渡せるのがポイントです。
財産権が所有者にある状態で家族が名義変更を行なうことは、贈与とはみなされません。
贈与税や不動産取得税などを課税されることなく、不動産の管理・処分だけを家族に託せます。
不動産の家族信託の注意点は受託者の負担が大きくなる可能性があること
不動産の家族信託の契約は、長期に渡る可能性があります。
不動産の家族信託の受託者は、毎年受益者に対して信託された財産(不動産)の収支を報告したり、報告書類を保管したりしなくてはなりません。
受託者の負担が大きくなる可能性があるため、家族の誰に託すかは、慎重に検討する必要があります。
まとめ
不動産の家族信託は、不動産を所有している人とその家族の不安や負担を軽減し、将来の利益を保護できうる制度です。
一般的に「財産権」は所有者そのままに、「名義」のみを家族に変更するため、家族信託における贈与税や不動産取得税などの課税が負担がないのもメリットといえるでしょう。しかし、不動産の家族信託の決まりや手続きは複雑で、自分たちだけで進めるのは難しい場合があります。
不動産の家族信託を利用するときは、税理士に相談しながら手続きをするのがおすすめです。