土地の生前贈与と相続、どちらが得?
土地の所有権を移転する方法として、「生前の贈与」と「相続」が考えられます。
生前贈与とは、土地の所有者が、贈与を受けるものに対して土地などの特定のものの所有権を与える契約をいいます。
一方で相続とは、被相続人の死亡と同時に発生するもので、被相続人の死亡時に被相続人に属していた一切の権利義務を相続人に包括的に承継させるものをいいます。
両者は死亡前に行うか、死亡と同時に行われるかといった点や、特定承継や包括承継かという点以外にも異なる点があります。
では、土地の生前贈与と相続ではどちらがお得でしょうか。
このページでは、土地の生前贈与と相続のどちらがお得かご紹介します。
■土地の生前贈与と相続のどちらがお得か
土地の生前贈与、相続はいずれも対価なくして土地の所有権が移転する点では同様です。
もっとも、贈与には贈与税が、相続には相続税がかかる点で税制上の違いがあります。
【生前贈与】
生前贈与には贈与税が課せられるところ、年間110万円以下の贈与には、贈与税が課されません。
一方、年間110万円を超える贈与に対しては、贈与額に応じて税金が課されます。税率は課税額が大きくなるにつれて大きくなります。例えば、200万円以下の贈与であれば、10パーセントですが、600万円を超えて1000万円以下の場合、30パーセントの贈与税がかかります。
そのため、110万円以下の土地であれば、生前贈与のほうが税制上お得といえます。
【相続】
相続に対しては相続税が課されるところ、相続税は以下のように算定されます。
相続の対象となった遺産の課税価格から相続した債務や葬儀費用の額を控除します。
そして、基礎控除額を上記価格から控除します。
基礎控除とは、課税されない相続財産のことで、3000万円+600万円×法定相続人の数で計算されます。
そして、税率は以下の通りとなります。
法定相続分に応ずる取得金額が1000万円以下の場合、税率10パーセント、3000万円以下の場合、15パーセントとなります。
そのため、上記生前贈与の税率を考慮すると、110万円を超える土地の移転に関しては、相続税のほうが税率を低く設定されているといえます。
以上のことをまとめると、
110万円以下の土地の場合には生前贈与、110万円を超える土地の場合は相続のほうが税制上お得といえます。
もっとも、生前贈与の価額の計算は年間単位で行われるため、そのほかの生前贈与の有無も考えなければいけません。さらに、税金対策として行われる生前贈与には以下の注意点があります。
例えば、5年間、毎年4月1日に100万円を生前贈与する旨の贈与契約を締結したとします。ここの現金の移動を個別にみると、100万円の移動に過ぎず、非課税とも思えます。
一方で、5年間を一括して考えると、500万円の生前贈与であり、合計金額は課税対象となります。
この点、500万円の贈与を5回に分けて行うという、「定期贈与」の場合、毎年の移動が100万であったとしても、合計額について課税されてしまいます。
そのため、他の生前贈与を考慮する場合には、上記時効を注意する必要があります。
■おわりに
以上のように、110万円以下の土地の場合には生前贈与、110万円を超える土地の場合は相続のほうが税制上お得といえます。
もっとも、生前贈与には注意点があるため適切に税金対策を行うことが求められます。
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