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相続財産の評価方法

相続税を計算するときは、相続した財産ごとに価値を計算しなければなりません。預貯金は通帳などで金額が明らかになりますが、土地や建物は価値を個別に評価する必要があります。公平で客観的な課税のため、国税庁は財産の価値を評価する基準として財産評価基本通達を定めています。
この章では、財産評価基本通達に基づいて、相続税を計算するときの財産の価値の評価方法をご紹介します。ポイントは、現預金は被相続人の死亡時点の残高で評価、不動産は一定のルールに従って評価、その他の財産は取引価格などを参考に評価、この3つです。また、財産の価値を評価するためには、財産の種類に応じてさまざまな資料が必要になります。


現預金は被相続人の死亡時点の残高を評価額とします。被相続人が自宅の金庫や貸金庫などで保管していた現金も、もれなく申告する必要があります。被相続人が亡くなる直前に、葬儀などに備えて相続人が多額の預金を引き出したような場合は、申告漏れがないように特に注意が必要です。定期預金など定期性の預金の評価額には、預入金額のほか、被相続人が死亡した日に解約したと仮定したときの利息(経過利息)も含める必要があります。経過利息の金額は、金融機関に依頼すれば計算してもらえます。外貨預金や外貨の現金も相続財産に含めます。外貨の額面を日本円に換算するときの為替レート(外貨と日本円の交換比率)は、取引金融機関が公表している対顧客直物電信買相場(TTB)を利用します。


土地の評価額は、実際の取引価格ではなく、国税庁が定めた路線価あるいは自治体が定めた固定資産税評価額に基づいて計算します。これらの価格は実際の取引価格より低く設定されています。一般的には、市街地では路線価を使った路線価方式で評価し、市街地以外では固定資産税評価額に一定の倍率をかける倍率方式で評価します。路線価方式で評価する場合は、土地に接している道路の数や土地の形状によって価格の補正が必要です。これらの補正は、税理士によっても見解が分かれるほど難しい場合があります。土地の評価については、相続税を専門にしている税理士に相談することをおすすめします。なお、貸宅地や貸家が建っている宅地は、借主の権利にあたる部分を差し引いて評価するため、自身で使用する宅地に比べて評価額は低くなります。


実家を相続したら小規模宅地等の特例の適用を検討します。自宅の土地の評価額が高ければ相続税が高くなり、納税のために自宅を売却するなど相続人の生活が脅かされることもあります。小規模宅地等の特例では、相続人の生活を保障するため、被相続人の自宅の土地や被相続人が事業を行っていた土地について一定の範囲で評価額を減額することができます。小規模宅地等の特例の種類は、①特定居住用宅地等、②特定事業用宅地等、③特定同族会社事業用宅地等、④貸付事業用宅地等の4つがあり、土地の評価額が最大で80%減額、つまり20%になる大変有利な制度です。この小規模宅地等の特例が使えるかどうかで大きく相続税の金額が変わってきますので、適用の可否については税理士に相談するとよいでしょう。
建物の評価額についても、実際の取引価格ではなく固定資産税評価額に基づいて計算します。自宅など自身で使用する建物であれば、評価額は固定資産税評価額と同額です。賃貸に出している場合は固定資産税評価額から30%減額して評価します(貸家の評価減)。ただし、長期間空室になっている部屋があれば、30%の減額はできません。


現預金以外に金融資産として保有されていることが多い上場株式の評価方法は、上場株式の評価額は株価に保有株式数をかけて計算しますが、株価は、①相続開始日の終値、②相続開始日の月の毎日の終値の平均額、③相続開始日の月の前月の毎日の終値の平均額、④相続開始日の月の前々月の毎日の終値の平均額、これら4つのうち最も低いものを選択します。上場株式の株価は日々変動するため、相続開始日(被相続人の死亡日)の株価だけでなく過去の傾向も考慮します。
また、投資信託の評価方法は、投資信託の価値は、相続開始日に解約したと仮定した場合の払い戻し金額で評価します。厳密には、次の算式「投資信託の評価額 =相続開始日時点の1口当たりの基準価額×口数-相続開始日に解約した場合に源泉徴収される所得税の額-信託財産留保額及び解約手数料」で評価額を計算します。基準価額や所得税の額などは取引している金融機関に問い合わせれば確認できます。なお、上場投資信託(ETF)の価値は上場株式と同じ方法で評価します。


非上場株式の評価方法は、オーナー企業の株式など取引所に上場していない株式は、企業の財務状態をもとに個別に株価を評価することになります。非上場株式の株価の評価は専門性が高いため、税理士に依頼することが一般的です。簡単にお伝えしますと、①類似業種批准方式による評価、②配当還元方式による評価、があります。オーナー企業の株式は価値が高くなることが多く、相続税が高くなるばかりか納税のために事業が継続できなくなる場合もあります。事業を後継者に引き継ぐときに相続税を猶予・免除する制度もありますが、生前に株価を引き下げる対策も重要です。

 

現預金、不動産、株式以外の財産も価値を評価して相続財産として申告する必要があり。その他の財産(ゴルフ会員権、自動車、書画骨董・貴金属の価値など)の評価方法をご紹介します。ゴルフ会員権の価値は、相続開始日時点の取引相場の70%で評価します。預託金の返還がある場合にはその金額を加算します。取引相場の金額は、新聞広告やゴルフ会員権取引業者のインターネットサイトなどで調べることができます。自動車の価値は、相続開始日時点の取引価格で評価します。自動車の取引価格は、中古車販売業者のインターネットサイトなどで調べることができます。書画骨董・貴金属の価値は、販売実例価格や専門家の鑑定結果をもとに評価します。

 

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代表者紹介

代表者

渡部 重也(Watanabe Shigeya)

渡部税理士事務所代表

保有資格

東京税理士会/登録番号:138611

東京都社会保険労務士会/登録番号:13150474

代表者挨拶

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クライアントと専門家が一体となって問題の解決にあたっていきましょう。

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