相続対策事例ケース4|不動産の現状把握と相続対策②
■母が高齢となり、相続の際に弟や妹と揉めないか不安がある。
■収益力や競争力の低下が懸念される所有不動産もあり、何か手を打つべきか悩んでいる。
1. 各不動産の現状を把握する
2. 弊社からのご提案
現状は相続発生時に「誰が」「何を」相続するかなどが一切未定で、「ご自宅兼アパート」に対して他の不動産の資産価値が劣るため、このままでは相続トラブルが心配される状況です。
そこで相続税額を試算したところ、納税用に確保してあった「月極駐車場」に多額の余剰金が出ることが判明したため、この余剰金を含めた遺産分割案を作成することをご提案しました。なお、「月極駐車場」は相続税評価額の圧縮効果があまり得られない状況から、一部または全部を売却して、相続時に分割しやすい都心区分所有マンション等への組み換えも選択肢のひとつとしてご提案しました。
また、「アパート2棟」は競争力に不安があり、法定耐用年数もほぼ消化され減価償却による節税メリットが得られていないことから、「月極駐車場」の売却益と併せた他の不動産への組み換えも視野に検討されるようご提案しました。
3. 提案後の対策
現在の総資産状況と将来の相続税額を確認されたJ様は、ご家族と相続に備えて話し合われ、収益の柱である「一棟マンション」は相続税評価額の圧縮効果も大きいため、継続保有する方針を固めました。また、「市内のアパート」については「築年数の経過」「相続税評価額の圧縮効果が低いこと」「賃貸状況の不安」といった問題点が明るみになったため、売却して他の不動産に組み換えることにしました。
一方、「ご自宅併用アパート」は、同様に問題点はあるものの高い相続税評価額の圧縮効果があり、長らく住んだご自宅を手放したくないとのご意向から継続保有する方針となりました。さらに、「月極駐車場」は一部を売却して「アパート」の売却益と合わせて、相続税評価額の圧縮効果が高く、収益性の高い不動産へ組み換える方向でご家族の意見が一致。
今後はJ様とご弟妹様で組み換え物件(購入物件)の条件整理と平等な資産の分け方について話し合っていくこと、また「別荘」は今後もご弟妹様と全員で使用し、名義に関しては弟様が引き継ぐことで意見が一致しました。