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相続税の基礎知識

相続税とは、日本の法律である「相続税法(昭和25年3月31日法律第73号)」に基づき課せられる税金のことを言います。 人の死亡を原因として、財産の移転が行われた際に、その財産を受けとったものにたいして課税が行われます。 相続税には、「富の再配分」という基本思想があり、貧富の差を緩和させるという経済政策が含まれています。


相続発生がすれば、相続税を納めると勘違いしそうですが、 相続税は全ての人にかかる税金ではありません。遺産相続において相続税を支払っている人の割合は
日本全国の平均で約8%程度の人しかいません。つまり相続税を支払う人の方が圧倒的に少ないのです。相続は誰でも発生するものなのに、相続税を支払うのは一部の人だけなのか、と言えば、これは相続税には基礎控除といって、相続税が非課税になる一定の非課税枠が設けられており、当然、相続税申告の対象にならない人は税務署への申告書の提出も不要となります。


相続税は遺産を相続した人に課税される税金です。 相続税が課税されるのは亡くなった人の親族だけとは限りません。 親族でなくても遺産を受け取った人には相続税が課税されます。相続税は、遺産を相続した人がそれぞれ税務署に申告して納税します。 税額は相続人の全員で均等に分けるのではなく、 実際に相続した遺産の割合に応じて分けます。したがって、遺産を多く相続した人ほど相続税は高くなります。


先述しましたが、相続税とは遺産を相続すれば必ず課税されるもの、というわけではありません。遺産の総額が基礎控除額と呼ばれる一定の金額以下であれば、相続税は課税されません。遺産総額が基礎控除額を超える場合は、 遺産総額から基礎控除額を引いた残りの金額に対して相続税が課税されます。基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)は一律に決まっているわけではなく、法定相続人の人数によって変動します。例えば相続人が子供2人の場合には、 相続税の基礎控除は4,200万円となりますので、相続する財産の総額が4,200万円以下であれば そもそも税務署に対して相続税申告をしなくてもよくなります。法定相続人となる人は、民法で、配偶者は常に法定相続人、第1順位:子(子が亡くなっている場合は孫)、第2順位:父母(父母が亡くなっている場合は祖父母)、第3順位:兄弟姉妹、と定められています。 親族であれば誰でも法定相続人になるわけではありません。第1順位の人がいなければ第2順位の人が法定相続人となり、 第2順位の人もいなければ第3順位の人が法定相続人となります。 配偶者は法的な婚姻関係にあることが必要で、内縁や事実婚の場合はいくら同居期間が長くても法定相続人にはなりません。


また、相続人は相続を放棄することができます。相続放棄をすると、亡くなった人の遺産や債務を引き継ぐことができなくなりますが、相続税の計算では相続放棄した人も法定相続人の数に含めます。法定相続人が多くなれば基礎控除額が高くなり、相続税は少なくなります。例えば、相続放棄で法定相続人を増やせる場合(配偶者及び子が法定相続人であるが、被相続人の兄弟姉妹が4人いることにより、子が相続放棄をすれば、法定相続人は、配偶者及び兄弟姉妹の4人の合計5人となる)では、相続税を意図的に減らすことができてしまいます。こうした行為にストップをかけるため、相続税の計算では相続放棄はなかったことにして、相続放棄した人も法定相続人の数に含めることになっています。先述の例では、相続税計算上の法定相続人は配偶者と相続放棄した子の2人となります。


また、法定相続人を増やす節税対策として、養子縁組が行われることもあります。しかし、養子が無制限に認められると相続税を不当に減らすことができてしまいます。このような行為を防ぐため、相続税の計算上は法定相続人に含める養子の数に制限(実の子供がいる場合、養子は1人まで。実の子供がいない場合、養子は2人まで)があります。この規定は相続税を計算する上での制限であり、養子縁組そのものを制限するものではありません。また、特別養子やいわゆる連れ子養子などは実の子供として数えるため制限は受けません。


被相続人が死亡時に所有していた財産は本来の相続財産として相続税が課税されます。現金、預金、不動産、貴金属、書画骨董など、金銭的な価値があるものはすべて課税対象になります。国内だけでなく海外の財産も含まれます。
死亡保険金や退職金はみなし相続財産として相続税が課税されます。みなし相続財産は被相続人が所有していた財産ではありませんが、被相続人が死亡したことで支払われるため相続税の課税対象になります。
財産に相続税が課税されるかどうかは、財産の名義にかかわらず、実質的に誰が財産を管理していたか、また誰がどのようにして財産を手に入れたかに基づいて判断されます。


妻や子供・孫の名義の預貯金も、実質的に被相続人のものとして相続税が課税される場合があります。子供や孫が成人したときに渡してあげようと、子供や孫名義の口座に貯蓄していた場合、相続税対策の一環として、妻名義の口座に自分の貯金を移していた場合、妻が専業主婦であるにもかかわらず、妻名義の口座の残高が夫名義の口座より多い場合などが想定されます。
課税対象になる財産は、形があって目に見えるものだけとは限りません。たとえば、営業権、特許権、著作権などの権利、生命保険契約に関する権利、なども相続税の課税対象になります。被相続人が契約していた生命保険の契約者を変更した場合は、生命保険契約に関する権利として相続税の課税対象になります。 被相続人が死亡した時点で解約した場合の解約返戻金に基づいて税額を計算します。
被相続人が所有していたものでも、墓地・墓石・仏壇・仏具・仏像・神棚・庭内神し、相続人が国や地方公共団体などに寄付した相続財産などは、相続税は課税されません。
日常的に礼拝の対象としている仏像や仏具などに相続税は課税されません。しかし、礼拝の対象とするには不自然なほどに高価な場合や、 骨董品としての価値がある場合は課税の対象になることがあります。 金の仏像や仏具の購入が節税対策になるという話を聞くこともありますが、 節税効果は無いといってよいでしょう。


また。死亡保険金・死亡退職金には下記のとおり非課税限度額(死亡保険金の非課税限度額は500万円×法定相続人の数、死亡退職金の非課税限度額は500万円×法定相続人の数)があり、非課税限度額を超える部分について相続税が課税されます。
被相続人に借入金や未払いの税金など債務があってそれを相続した場合は、遺産の額から差し引くことができます。また、被相続人の葬儀にかかった費用も、社会通念上妥当な範囲で遺産の額から差し引くことができます。遺産から控除できる債務は、借入金、預かり敷金、未払税金、医療費などがあり、控除できる葬式費用は、通夜・本葬やその前後で通常発生する費用 (寺院への読経料、仮想埋葬費用など)、 遺体の捜索・運搬費用などがあります。逆に遺産から控除できない債務は、墓地など非課税財産購入の未払金、保証債務、弁護士報酬、税理士報酬など相続にかかる費用などがあり、控除できない債務は、香典返しの費用、初七日以降の法要の費用、墓地・墓石など非課税財産の購入費などがあります。
生前贈与された財産のうち、遺産を相続した人が過去3年以内に被相続人から贈与された財産(配偶者控除や各種非課税制度を適用した財産は除く)、贈与のときに相続時精算課税を適用した財産は、贈与したときの価額で相続税の課税対象に加算します。過去3年以内に贈与された財産を相続税の課税対象に含めるのは、生前贈与で相続税を低く抑える節税対策に一定の歯止めをかける目的があります。生前贈与された時点で贈与税を納めていれば、相続税から差し引くことができます。なお、被相続人が死亡した日と同じ年に贈与された財産に贈与税は課税されず、はじめから相続税の課税対象になります。


以上、ここまでお伝えしたものを加減した合計額が、相続税の課税対象である課税価格(相続税の課税価格=本来の相続財産+みなし相続財産-非課税財産-債務-葬式費用+生前贈与財産)となります。

 

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代表者紹介

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渡部 重也(Watanabe Shigeya)

渡部税理士事務所代表

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東京都社会保険労務士会/登録番号:13150474

代表者挨拶

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