相続対策事例ケース2|低収益不動産の組み換え
■各不動産の資産価値の差異が大きく、また子供たちの意向も異なるが、3人の子供たちには等分に相続させたい。
■納税資金に不安がある。不動産のいくつかを売却する必要があると思うが、どの不動産にすればよいかわからない。また、すぐに売れるのかも心配。
■どのような準備をすればよいのか、プロの意見を聞いてみたい。
1. 各不動産の現状を把握する
2. 弊社からのご提案
F様のご所有不動産は、一棟マンションとアパートが中心で、かつエリアも分散していました。そこで、資産レポートで得られた結果と各不動産のご所有目的を整理し、お子様たちへの分割を想定したご提案をさせていただきました。
具体的には、「ご自宅」は小規模宅地の特例が利用できるご長男様が相続することで、高い相続税の圧縮効果を得られます。そして「一棟マンション」と「市内のアパート」は売却し、相続税評価額がほぼ同額の都心の区分所有マンション4戸へ組み換えます。組み換え住戸のうち2戸はご次男様が相続、残りの2戸はご長男様とご長女様が各1戸ずつ相続し、さらに継続保有する「都内のアパート」は、ご長女が相続する分割案です。これによりお子様たちが引き継ぐ各不動産の評価額がほぼ同等になりますが、最終的には納税用で確保する「月極駐車場」の売却代金を調整資金として充当することをご提案しました。
3. 提案後の対策
資産レポートの結果と当社からの提案をもとに、お子様と将来について話し合われたF様は、代々引き継がれた思い入れのある「ご自宅」はご長男様へ相続し、「月極駐車場」を相続時の納税資金および調整資金の原資として継続保有する方針とされました。
また、課題を抱える「一棟マンション」と「市内のアパート」は、不動産投資による本来の目的を果たしていないことや遺産分割上の問題解決のため、収益性と流通性がより高い都心の区分所有マンションへ組み換える方針とされました。こうしてF様は、お子様たちによる不動産の共有を回避するために、事前にご所有不動産を「分けやすくしておく」という相続の事前対策を進めていくことになりました。